禁断の本棚
70%OFF。
例のアレ。
しかも割引をかぶるのはDMM社のため、作者さまには全額入るという魅惑的な条件に惹かれ、ついに手を染めてしまった。
禁断の本棚、電子書籍。
ついにその果実へと手を伸ばしてしまったわけである。
いやしかし、厳選に厳選を尽くして並べた、以前から読みたかった本たちが並んでる様子はあまりにもかぐわしい。
まさに禁断の果実。ヨダレ出そう。
「でもあちこちで買うとアプリにバラバラに入ってて面倒なんだよなあ」
とは、電子書籍の先人たる旦那氏の言。
だがここで、わたしは首を傾げた。
「Kindleとか、これまでの電子書籍ってそれぞれ専用のガジェットがいるんじゃないの……?」
紙のようにめくれたりだとか。
確か、『ドラゴンボール』専用の端末なんてものも出ていた気がする。
「いや、ぜんぶアプリだよ。スマホで見れる」
「そうなの⁉︎」
知らんかった……
「てことはスマホ一個で完結するってことじゃん? 検索機能あるし、アプリの中で行方不明になるってことはないんじゃ」
「うーん、でも2、3個のアプリで分かれちゃってると、もう現実の本棚で探した方が早いってなるし」
「現実の本棚で探した方が早い?????」
現実の本棚=魔境なのだが?
検索機能などというものなどない、久方ぶりに読もうとする本なれば、己の記憶と本のサイズ感と作者名から推測される位置を幾冊と並ぶ本群をそっと脇によけ場合によっては埃と格闘しながら宝箱を探す一大アドベンチャーなのだが?
「…………待って、何冊くらいの話してる?」
「20冊とか30冊とか」
こっちは千冊二千冊の話をしてんだよなあ〜〜!!
なるほど、噛み合わんわけだ。
旦那氏も我もオタクである。
であるのだが、いかんせん種族が異なる。
ちなみに、わたしはゲーム等の話になるとまったくわからない。コントローラーを握ったことが数えるほどしかないので、AボタンやBボタンなるものとの親交度がほぼ0である。
オタク同士の夫婦なれど、やはり住んでいるのは文化の異なる別の国。
結婚というものは改めて、難しく乱暴で、けれど新たな発見の多い制度だと思う。