引き渡し日-ココカラ始マル
いよいよ。
ついに。
マンションの引き渡し日がやってきました…!
サインをした、その一瞬からは我が家という城が我々の手の上に。
長かった……。
いやしかし。遅いと感じられるが、逆にこれは遅い方がいいのである。
なぜなら、引き渡し日とはつまりローンを正式に組み始める日でもあり、つまるところ今日から引っ越しまでの期間は現在住んでる部屋との二重支払いが発生するわけである。
プロことゼロリノベの営業さんによる気遣いと実力の結果、今日この日なのだった。さすがプロ。
場は銀行。
司法書士の先生も立会の元、行われる。
ブースで仰々しく様々な書類に旦那氏がサインをしていく。
が、実際のお金の移動はアプリで実行される。
アプリて。
「この形式になってから、1時間くらい早く完了できるようになりました」
なるほどなぁ。
なんとなく実感に乏しくさみしいですね、というのは集まった人間の共通意見だった。
便利さと情緒はいつでも等価交換だ。
しかして、旦那氏のスマホで行われたアプリ操作を成人男性数人でいっせいに覗き込む様子はちょっと宗教画みたいな趣きがあった。
世が動けば新たな情緒も生まれるものなのかもしれない。
契約は無事完了した。
手渡された鍵には、35年ローンと我々の夢と希望の重みを宿していた。